1. 環状プロピレンカーボネート
1.1. 一般情報、類義語
1.2. 組成、化学構造
1.3. 安全性情報
1.4. 危険有害性の特定
1.5. 取り扱いと保管
1.6. 毒性学的および生態学的情報
1.7. 輸送情報
2. 環状プロピレンカーボネートの用途
2.1. 環状プロピレンカーボネートの応用分野、川下製品
3. 環状プロピレンカーボネートの製造法
4. 環状プロピレンカーボネートの特許
概要
概要
発明の概要
発明の詳細な説明
5. 世界の環状プロピレンカーボネート市場
5.1. 一般的な環状プロピレンカーボネート市場の状況、動向
5.2. 環状プロピレンカーボネートのメーカー
– ヨーロッパ
– アジア
– 北米
– その他の地域
5.3. 環状プロピレンカーボネートのサプライヤー(輸入業者、現地販売業者)
– 欧州
– アジア
– 北米
– その他の地域
5.4. 環状プロピレンカーボネート市場予測
6. 環状プロピレンカーボネート市場価格
6.1. 欧州の環状プロピレンカーボネート価格
6.2. アジアの環状プロピレンカーボネート価格
6.3. 北米の環状プロピレンカーボネート価格
6.4. その他の地域の環状プロピレンカーボネート価格
7. 環状プロピレンカーボネートの最終用途分野
7.1. 環状プロピレンカーボネートの用途別市場
7.2. 環状プロピレンカーボネートの川下市場の動向と展望
この物質は、分子内にエステル結合を持つため、溶媒として優れた特性を示します。非常に多くの有機および無機化合物を溶解する能力を持ち、とりわけ高い誘電率と極性を有することから、電解質としての利用も見込まれています。また、沸点が240°Cと高く、常温で安定しているため、様々な化学反応における溶媒として使用されます。さらには、非常に低い蒸気圧を持つため、気化による損失が少なく、作業環境においても安全性が高いとされています。
プロピレンカーボネートの製造方法は、主にプロピレンオキシドと二酸化炭素の反応により行われます。このプロセスは、エポキシドカルボニル化反応と呼ばれ、触媒としては、例えば亜鉛、銅、アルミニウムなどの金属化合物が使用されることが一般的です。反応は比較的低温・低圧で進行し、非常に効率的にプロピレンカーボネートを生成します。この製造プロセスは、二酸化炭素の有効利用という点でも環境に優しいとされています。
用途に関しては、プロピレンカーボネートは電解質溶媒としてリチウムイオン電池で広く使用されています。これは、電解質塩を溶解しやすく、その結果として電池の高い誘電率およびイオン伝導性を維持します。この特性は、充放電サイクルでの効率と安定性を高める要因となっています。また、化粧品産業でも利用され、化粧品や個人ケア用品の溶媒として、あるいは製品の粘度調整剤として利用されています。
さらに、ペイントやインクにおいては、低ボラタイルオーガニックコンパウンド(VOC)としての特性を利用して、溶媒として採用されています。これにより、有機溶剤の揮発による環境および健康問題の緩和に貢献しています。加えて、樹脂やフィルムの製造でのプラスチック化剤や硬化剤としての利用が見込まれています。
関連特許については、プロピレンカーボネートの製造方法やその応用に関する特許が多数存在します。たとえば、エポキシドと二酸化炭素を用いる反応をより効率的に、または特定の条件下で行うための触媒やプロセスの特許が数多く申請されています。また、電解質溶媒としての使用に関する特許も開発が進んでおり、新しいリチウムイオン電池の性能を向上させるための研究が盛んです。
プロピレンカーボネートは、その優れた化学的特性と多様な応用可能性により、幅広い産業で重要な役割を果たしています。環境に優しい技術の進展に伴い、その利用範囲は今後ますます広がることが期待されています。