1. 二酸化ジルコニウム
1.1. 一般情報、類義語
1.2. 組成、化学構造
1.3. 安全性情報
1.4. 危険有害性の特定
1.5. 取り扱いと保管
1.6. 毒性学的および生態学的情報
1.7. 輸送情報
2. 二酸化ジルコニウムの用途
2.1. 二酸化ジルコニウムの応用分野、川下製品
3. 二酸化ジルコニウムの製造法
4. 二酸化ジルコニウムの特許
概要
概要
発明の概要
発明の詳細な説明
5. 世界の二酸化ジルコニウム市場
5.1. 一般的な二酸化ジルコニウム市場の状況、動向
5.2. 二酸化ジルコニウムのメーカー
– ヨーロッパ
– アジア
– 北米
– その他の地域
5.3. 二酸化ジルコニウムのサプライヤー(輸入業者、現地販売業者)
– 欧州
– アジア
– 北米
– その他の地域
5.4. 二酸化ジルコニウム市場予測
6. 二酸化ジルコニウム市場価格
6.1. 欧州の二酸化ジルコニウム価格
6.2. アジアの二酸化ジルコニウム価格
6.3. 北米の二酸化ジルコニウム価格
6.4. その他の地域の二酸化ジルコニウム価格
7. 二酸化ジルコニウムの最終用途分野
7.1. 二酸化ジルコニウムの用途別市場
7.2. 二酸化ジルコニウムの川下市場の動向と展望
ジルコニウム二酸化物の最も顕著な特性は、その優れた耐火性です。融点は約2,715°Cに達し、この高い熱安定性は耐火材料としての利用価値を高めています。また、その硬度と強靭さも重要な特性であり、メディカルインプラントやカッティングツールなどの分野で重宝されています。さらに、化学的に安定しており、多くの酸やアルカリにも耐性を持ちます。さらに、ジルコニアは酸化状態に応じて異なる相(単斜晶/四方晶/立方晶)を持ち、これが様々な特性に寄与しています。特に、四方晶相での高い強靭性と頑丈性は、構造用セラミックスとしての利用を可能にしています。
ジルコニアの用途は多岐にわたります。工業用途としては、主に耐火物、溶射コーティング材、バーナーチップ、熱電対保護管などがあります。また、ジルコニアは電解質としてソリッドオキサイド燃料電池に使用されることでも有名です。これは、非常に高い酸素イオン伝導性を持つためであり、効率的なエネルギー変換が可能です。また、ジルコニアの美しい光学特性を利用して、宝石の模造品、特にキュービックジルコニアとして宝飾品産業でも利用されています。さらに、歯科用材料としてもジルコニアは重要であり、その耐久性と審美性から歯冠やブリッジに使われています。
ジルコニウム二酸化物の製造方法は、主にジルコン(ZrSiO₄)の分解から行われます。ジルコン砂はまず、炭化カルシウムとともに高温で加熱され、一酸化ジルコニウム(ZrO)が形成されます。その後、空気中での酸化により目的とする二酸化物を得ることができます。また、化学的にはジルコニウム塩の加水分解によって水酸化ジルコニウムを形成し、これを焼成することによっても製造されます。さらに、プラズマや激しい加熱を使った最新の方法も開発され、高純度のジルコニアの製造を可能にしています。
関連する特許技術としては、ジルコニアの結晶構造の安定化や、微細な粉末の製造技術に関するものが数多く存在します。例えば、イットリア安定化ジルコニア(YSZ: Yttria Stabilized Zirconia)の技術は非常に盛んで、これはイットリウム酸化物を添加することにより、四方晶相を常温で安定化したものです。これによってジルコニアの強靭性を高め、工業材料や医療用途での使用を進めることができるようになりました。その他にも、ジルコニアを用いたプロセスの効率化や、特定の用途向けの機能性向上などに関する特許が存在し、この分野の研究・開発は活発に行われています。
総じて、ジルコニウム二酸化物はその優れた物性から多岐にわたる分野で利用され、ますますその需要が高まっています。技術革新や新たな用途開発が進む中、今後もこの重要な素材は産業界にとって不可欠な役割を担い続けることでしょう。