1. トール油
1.1. 一般情報、類義語
1.2. 組成、化学構造
1.3. 安全性情報
1.4. 危険有害性の特定
1.5. 取り扱いと保管
1.6. 毒性学的および生態学的情報
1.7. 輸送情報
2. トール油の用途
2.1. トール油の応用分野、川下製品
3. トール油の製造法
4. トール油の特許
概要
概要
発明の概要
発明の詳細な説明
5. 世界のトール油市場
5.1. 一般的なトール油市場の状況、動向
5.2. トール油のメーカー
– ヨーロッパ
– アジア
– 北米
– その他の地域
5.3. トール油のサプライヤー(輸入業者、現地販売業者)
– 欧州
– アジア
– 北米
– その他の地域
5.4. トール油市場予測
6. トール油市場価格
6.1. 欧州のトール油価格
6.2. アジアのトール油価格
6.3. 北米のトール油価格
6.4. その他の地域のトール油価格
7. トール油の最終用途分野
7.1. トール油の用途別市場
7.2. トール油の川下市場の動向と展望
物理的特性としては、25℃での比重が約0.92から0.95程度で、水不溶性です。ただし、エタノールやアセトンなどには溶解する性質があります。また、126℃前後でけん化が始まるため、熱による処理が必要な用途においては注意が必要です。Tall oilの主成分であるロジン酸や脂肪酸は、化学的に反応性があり、さまざまな誘導体を生み出すことができます。
用途に関して、Tall oilは非常に多用途です。まず、工業用の洗浄剤や分散剤、エマルジョン安定剤などとして使用されています。また、接着剤やインクの原料としても有用です。さらに、Tall oilの誘導体であるトールオイルロジンは、ゴムの製造に欠かせない成分の一つであり、ゴムの粘着性や弾性を調整するために加えられます。ほかにも、食品添加物としての使用が許可されており、食品の保存や風味の向上に寄与しています。一部のステロールは、栄養補助食品や医薬品の原料としての価値も持ちます。
製造方法としては、クラフトパルプ製造過程で発生する黒液からの抽出が一般的です。この過程では、まず黒液の中に含まれる酸を中和し、沈殿物としての粗製トールオイルを析出させます。その後、精製過程を経て、より純度の高い製品が得られます。精製には蒸留や化学的な処理が用いられ、最終的に市場で取引される際には、成分比率や酸価などが規格によって測定・管理されています。
Tall oilに関連する特許も多く存在します。特にその化学変性プロセスに関しては、多くの企業が研究を進めています。たとえば、トールオイルから抽出された成分を用いた新規の接着剤や潤滑油の開発、バイオディーゼル燃料の製造などに関する特許があります。また、塗料やコーティング剤への応用も進んでおり、その耐薬品性や耐候性向上を目的とした技術革新が見られます。
環境適合性という視点でも注目されています。Tall oilは、木材からの再生可能な資源であり、バイオマスエネルギーの一環として捉えることができます。従来の化石燃料に比べて二酸化炭素の排出削減効果が期待できるため、持続可能な資源利用を促進する手段の一つとして研究が進められています。ヨーロッパや北米を中心に、数多くのプロジェクトが進行中であり、Tall oilの生産および利用はさらなる拡大が見込まれます。